建設業許可事務ガイド【第15条関係】

1.専任技術者について(法第15条第2号)

(1)営業所におかれる技術者に必要とされる実務の経験は、発注者から直接請け負った建設工事に係るものに限られており、したがって発注者の側における経験、元請負人から請け負った建設工事に係る実務の経験は含まれない。

(2)指導監督的な実務経験について
① 「指導監督的な実務の経験」とは、建設工事の設計又は施工の全般について、工事現場主任者又は工事現場監督者のような立場で工事の技術面を総合的に指導監督した経験をいう。
② 指導監督的な実務の経験については、許可を受けようとする建設業に係る建設工事で、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が4,500万円以上であるものに関し、2年以上の指導監督的な実務の経験が必要であるが、昭和59年10月1日前に請負代金の額が1,500万円
以上4,500万円未満の建設工事に関して積まれた実務の経験及び昭和59年10月1日以降平成6年12月28日前に請負代金の額が3,000万円以上4,500万円未満の建設工事に関して積まれた実務の経験は、4,500万円以上の建設工事に関する実務の経験とみなして、当該2年以上の期間に算入することができる。

(3)法第7条第2号イからハまでのいずれかに該当するための期間の全部又は一部が、法第15条第2号ロに該当するための期間の全部又は一部と重複している場合には、当該重複する期間を法第7条第2号イからハまでのいずれかに該当するまでの期間として算定すると同時に法第15条第2号ロに該当するための期間として算定してもよい。また、実務の経験の期間は、具体的に建設工事に携わった実務の経験で、当該建設工事に係る経験期間を積み上げ合計して得た期間とする。なお、経験期間が重複しているものにあっては原則として二重に計算しないが、平成28年5月31日までにとび・土工工事業許可で請け負った解体工事に係る実務の経験の期間については、平成28年6月1日以降、とび・土工工事業及び解体工事業双方の実務の経験の期間として二重に計算できる。また、電気工事及び消防施設工事のうち、電気工事士免状、消防設備士免状等の交付を受けた者等でなければ直接従事できない工事に直接従事した経験については、電気工事士免状、消防設備士免状等の交付を受けた者等として従事した実務の経験に限り経験期間に算入し、建設リサイクル法施行後の解体工事に係る経験は、とび・土工工事業許可又は建設リサイクル法に基づく解体工事業登録で請け負ったものに限り経験期間に算入する。

 

2.財産的基礎について(法第15条第3号)

(1)次のすべての基準を満たす者は、倒産することが明白である場合を除き、この基準を満たしているものとして取り扱う。
① 欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと。
② 流動比率が75%以上であること。
③ 資本金の額が2,000万円以上であり、かつ、自己資本の額が4,000万円以上であること。

(2)「欠損の額」とは、法人にあっては貸借対照表の繰越利益剰余金が負である場合にその額が資本剰余金、利益準備金及び任意積立金の合計額を上回る額を、個人にあっては事業主損失が事業主借勘定から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金を加えた額を上回る額をいう。

(3)「流動比率」とは、流動資産を流動負債で除して得た数値を百分率で表したものをいう。

(4)「資本金」とは、法人にあっては株式会社の払込資本金、持分会社等の出資金額をいい、個人にあっては期首資本金をいう。

(5)「自己資本」とは、法人にあっては貸借対照表における純資産合計の額を、個人にあっては期首資本金、事業主借勘定及び事業主利益の合計額から事業主貸勘定の額を控除した額に負債の部に計上されている利益留保性の引当金及び準備金の額を加えた額をいう。

(6)この基準を満たしているかどうかの判断は、原則として既存の企業にあっては申請時の直前の決算期における財務諸表により、新規設立の企業にあっては創業時における財務諸表により、それぞれ行う。ただし、当該財務諸表上では、資本金の額に関する基準を満たさないが、申請日までに増資を行うことによって基準を満たすこととなった場合には、「資本金」については、この基準を満たしているものとして取り扱う。